阪急バス路線物語(BLOG ver.)

阪急バス・阪急田園バスが運行する京阪神地区を中心に、「バス停」とその風景を撮り続けています。

阪神と丹波を結んだ、夢の直通バス -杉生線 池田~籠坊温泉系統-

 現在、阪急バスの最北端停留所として有名なのが篠山市後川にある「後川」停留所。能勢営業所閉所に伴うダイヤ改正(2012年12月10日改正)以降、丹波篠山に乗り入れる阪急バス便は日生中央からの1日2往復のみとなりました。旧城東町後川地区に阪急バスが乗り入れを開始したのは1984年(昭和59年)5月10日のこと。
 それより20数年前の1962年(昭和37年)11月20日。丹波篠山と阪神間を結ぶ阪急バス便の運行が開始されました。その当時の様子をふりかえってみましょう。


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 1962年11月20日早朝、始発の籠坊温泉で住民総出で開通式典が行われたようです。(『阪神-丹波を結ぶ最短コース実現 夢で待ったバス開通』.神戸新聞.摂丹版.1962年11月21日.12面

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 こちらは運行開始直前の記事。道路の整備が遅れていたため、開業が遅れていたようです。さらに観光開発策のひとつとして、土産物に「温泉コケシ」を発売するといった内容も。(
『篭坊温泉へ 阪急バス乗り入れ 十一月中旬から実施』篠山新聞.1962年11月5日.2面

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 運行開始後の地元新聞紙の記事。池田発始発便でも開通祝賀式が行われたようです。(
籠坊へ阪急バス 開通祝賀式挙ぐ 初の運転手に花束.篠山新聞.1962年11月25日.2面

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 1964年4月1日現在の杉生線時刻表。杉生新田~籠坊温泉間は10分かかっていたようです。(「全国バス時間表」 弘済出版社より)

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 1964年11月頃の時刻表。池田発籠坊温泉行きの最終と籠坊温泉発池田行きの始発は泊り運用だったようです。(「全国バス時間表」日本観光出版より)

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 阪急バス「
籠坊温泉」停留所跡。左側のベンチと公衆電話があるところにバスが停まっていたそうです。2015年現在、左側の赤い屋根の建物(旧公民館)は既に撤去されており、バス停があった跡は残されていません。

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 左側の民宿「湯の壺」前の転回スペースは、2000年代頃まで神姫バスの転回場所として使われてきました。2006年7月での聞き取り調査では、写真左側の茶色い建物の2階が阪急バス乗務員が宿泊していたところだったそうです。


 地元・城東町の嘆願によって実現した池田~籠坊温泉系統ですが、1974年(昭和49年)4月で運行休止(資料によっては1972年11月頃という説も)となり、1977年(昭和52年)6月21日に路線廃止となりました。
 運行休止に関して聞き取り調査を行ったところ、「冬期に峠でバスがスリップして事故をしたのが休止のきっかけだった」「バスが事故を起こし、その場で停車していたところ、少し離れた民家が(バスの事故とは関係なく)ガス爆発を起こし、道が通れなくなったのが休止のきっかけだった」といった話を聞けた。なお、当時の地元新聞紙(篠山新聞、丹波新聞、神戸新聞)にはそのような事件に関する記事はないものの、いずれにせよ道が通れなくなったから運行休止となったことには変わり無さそうです。運行開始時には新聞で取り上げられるほどでしたが、運行休止・廃止ではそうした記事に取り上げられることもなく、ひっそりとした廃止だったようです。


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 1983年(昭和58年)10月、旧篠山町と後川地区住民は、阪急バスに対して、大阪~篠山間を結ぶ交通機関として、また丹波地域と阪神圏との交流する生活路線として、定期バス乗り入れを要請を出しました。そして、当該道路の改修も完了し、折り返し用地も確保でき、運行条件が整ったことから、1984年(昭和59年)5月10日、杉生線杉生新田系統を篠山町後川へ路線延長し、地域住民の利便をはかることとなりました。全日の9日午前9時30分には篠山町後川折り返し場所にて篠山町長ほか各関係者多数出席のもとに、後川小学校児童による鼓笛演奏が行われるなか、篠山町長・議長・阪急バス取締役によるテープカットや花束贈呈が行われ、籠坊温泉延伸時と同様に盛大な記念式典が催されました。(「阪急バス」1984年6月号より)


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 天王口~上籠坊間に残されていた「歓迎 篭坊温泉」の看板。今も3軒の民宿が営まれています。

池田~籠坊温泉系統 
 1962年11月20日運行開始、1974年4月(1972年11月説も)運行休止、1977年6月21日廃止
 廃止区間の途中停留所:杉生新田~奥山台~天王口~上籠坊~籠坊温泉 

川西能勢口駅前~篠山町後川系統(31.2km)、日生中央~篠山町後川系統(往22.8km, 復22.5km)
 1984年5月10日運行開始
 延長区間の途中停留所:杉生新田~猪村~篠山町後川
 平日:往4便/復3便、日祝:往6便/復7便  日生中央系統は平日 往2便/復3便

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