阪急バス路線物語(BLOG ver.)

阪急バス・阪急田園バスが運行する京阪神地区を中心に、「バス停」とその風景を撮り続けています。

尼崎を走った阪急バス:神崎線

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 2016年3月20日、尼崎市域で運行してきた尼崎市営バス(尼崎市バス)は阪神バスに運行および路線を譲渡しました。これにより尼崎市による路線バスの運行はなくなりました。

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 尼崎市域を走っている路線バスは、阪急バスのほかに、今回路線譲渡がなされた尼崎市バス、阪神(電鉄)バスの3者がそれぞれに路線をもっていました。
 尼崎市域で運行している阪急バスの路線は、尼崎線(元は池田~尼崎)、加島線(元は梅田~阪急伊丹の阪丹線)、そして園田線(現在は阪急園田~伊丹営業所前)の3路線がありますが、ここにさらにもう1つ「神崎線」(1970年4月10日全線廃止)という路線がありました。

 今回は、その「神崎線」について、路線開設時の様子と、廃止直前の様子をみていきましょう。

1.宝塚有馬自動車時代
 宝塚~有馬温泉間で運行を行っていた宝塚有馬自動車は、伊丹や尼崎エリアへの進出を図るため、1928年12月に傍系の尼崎バスを設立し、阪神出屋敷~大洲波止場間、伊丹植松~塚口経由~長洲間、伊丹植松~小中島~長洲間において路線免許を得ました。1930年10月、阪神合同バス(現在の阪急バス)への路線譲渡を順次行っていきました。このうち、伊丹植松~小中島~尼崎長洲系統(9.5km)が神崎線の初期系統にあたります。

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 宝塚有馬自動車は1938年9月1日に阪神合同バス(のちの阪急バス)に路線を譲渡しました。その1年前の1937年8月1日の伊丹・尼崎間のバス時刻表をのぞいてみましょう。(尼崎市立地域研究史料館様のご協力により掲載)

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 現在の尼崎線の一部にあたる伊丹~塚口~尼崎、塚口~尼崎系統の時刻表です。このころ、尼崎エリアは、大阪に隣接する工業地帯を形成しており、海上輸送にも適していたことから重工業化が進んでいました。1933年7月に伊丹~尼崎港間で産業道路が開通したことにより、工場の進出や住宅地化が加速し、バス路線開設の争奪戦になっていたことから、地の利があった宝有バスが路線を拡張させていきました。
 「塚口~尼崎間8分毎」など、現在以上に高頻度で運行していたことがわかります。

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 こちらが神崎線の時刻表です。区間に応じて15分~60分毎に運行していたことがわかります。


2.阪急バス時代の廃止直線について
 太平洋戦争末期の1944年4月、戦時非常措置要綱に基づいて、様々な路線が休廃止されていくなか、神崎線は尼崎線とともに軍需路線として運行を続けていきました。このとき、潮江~尼崎(阪神尼崎)間では31回から53回の増回されました。
 戦後、阪急バス沿線では住宅地開発が加速化していったことで様々な路線を拡張させていった一方で、従来からある路線はモータリゼーション化の影響で乗客が減っていき不採算路線となるものもありました。神崎線では道路交通の改善を目的とした「車両制限令」により、神崎~潮江浜間が廃止されました。さらに、昭和40年代からは乗客の減少が顕著となったことから、1964年(昭和39年)度から流動調査を実施。ここで、不採算路線として、1970年4月10日、神崎線(阪急伊丹~国鉄尼崎~阪神尼崎、阪急伊丹~阪急園田~国鉄尼崎~阪神尼崎系統)は廃止されることとなりました。

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 廃止前の神崎線の路線図が上図です(クリックすると拡大表示します)。
 現在、神崎線で廃止になった区間では尼崎市バス(2016年3月20日からは阪神バス尼崎市内線)による運行が行われています。青色点線の[11]阪神尼崎~JR尼崎~近松公園~若王寺~小中島~阪急園田、[22]阪神尼崎~尾浜~若王子~御園団地(図中の「田中」)~園田支所~阪急園田、赤色点線の[23]阪神尼崎~JR尼崎~神崎~阪急園田、緑色点線の[24]阪神杭瀬~JR尼崎~五反田~阪急園田などが神崎線沿線を運行している主な路線です。

 1964(昭和39)年『全国バス路線便覧』では、神崎線の運行概要は次のようになっていました。通し番号223番が上図の赤線、224番が青線の系統にあたります。
 ・223.阪急伊丹~神崎~尼崎,距離:往12.5km/復13.54km,運賃:25円,
     往路10:05-18:55,復路11:10-19:45,25分,3往復
 ・224.阪急伊丹~坂部~尼崎,距離:往9.55km/復10.35km,運賃:25円,
     往路06:30-16:45,復路07:15-17:30,25分,3往復


 これで、神崎線の紹介をひとまず終えたいと思います。
 尼崎市域の交通が変わろうとしている今だからこそ、昔の路線について思いを馳せるのも良いのではないでしょうか。


参考資料
 ・「昭和13年8月1日改定 伊丹・尼崎間バス時刻表 宝塚有馬自動車株式会社」
 ・「阪急バス 50年史」
 その他、住宅地図などを含む。
謝辞
 尼崎市立地域研究史料館 様

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